原子力発電所向けクラッド除去用イオン交換樹脂ダイヤイオン HPAN10 の開発
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概要
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原子力発電プラントの系統水中の金属腐食生成物(クラッド(crud))は,プラント構成材料や燃料の健全性維持と作業者の被ばく低減の観点から,系統水中より効率的に除去する必要がある。今回,加圧水型(PWR 型)発電プラント一次系用の新規高性能クラッド除去用樹脂としてハイポーラス型アニオン交換樹脂ダイヤイオン HPAN10 を開発した。HPAN10 は,従来のゲル型樹脂と比較して,約 10 倍の模擬クラッド除去性能を有している。また,表面多孔構造が発達したハイポーラス樹脂は,一般に物理強度が低く,樹脂からの溶出や表面剥離による濁質分(微粉)発生が多いという問題がある。HPAN10 については,この点についても改良を加え,溶出や濁質分の発生を実用上問題ないレベルにまで低減している。HPAN10 の使用方法については,これまで PWR 型発電所の一次系においてに長い使用実績のあるゲル型混床樹脂との併用が適当であると考えられ,例えば,HPAN10 を混床樹脂層上に積層(オーバーレイ)することで,従来混床樹脂との補完作用により,高いクラッド除去性能が発揮されると考えられる。