歯科医師の熟練度と全部床義歯症例の難易度が治療時間に及ぼす影響
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概要
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目的 : (社) 日本補綴歯科学会は, 補綴治療の対象である, 歯質欠損, 部分歯列欠損, 無歯顎に対する症型分類を提示した. 症型分類は2つの主要セクションと4つの小項目から成り立っている. さらに, 4つのレベル (Level I : 難易度が低い症例, Level II : 難易度が中等度の症例, Level III : 難易度が高い症例, Level IV : 難易度が著しく高い症例) が, 治療の難易度として定義される. 本研究の目的は, 全部床義歯治療時間に関する歯科医師の意識調査を行うことにより, 歯科医師の熟練度と症例の難易度 (症型分類) が治療時間におよぼす影響を明らかにすることである.方法 : 14大学, 311名からアンケート結果を得た. 臨床経験 (認定医・専門医資格の有無) と全部床義歯治療時の各ステップのチェアータイムを調査した.結果 : 調査用紙より無歯顎者に関する症型分類のLevelが高くなるにつれて, 全部床義歯の治療に必要な時間はかなり長くなるが, 単位時間の診療報酬は低くなることが示された. 日本補綴歯科学会の認定する認定医・専門医の資格取得者は全体に治療に要する時間は短いものの, やはり症型分類の高いLevelには長時間を要することが示された.結論 : 日本補綴歯科学会の認定する認定医・専門医の資格取得者では難易度にかかわらず, 資格未取得者と比較して全部床義歯の治療時間が短く, 治療回数も少ない傾向を示した. しかし, Level III, Level IVに分類される難症例では認定医・専門医の資格取得者においても, 時間を要することが示された.
- 社団法人 日本補綴歯科学会の論文
著者
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玉置 勝司
(社) 日本補綴歯科学会研究企画推進委員会
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北川 昇
(社) 日本補綴歯科学会研究企画推進委員会
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佐藤 裕二
(社) 日本補綴歯科学会研究企画推進委員会
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服部 佳功
(社) 日本補綴歯科学会研究企画推進委員会
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山下 秀一郎
(社) 日本補綴歯科学会研究企画推進委員会
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中村 隆志
(社) 日本補綴歯科学会研究企画推進委員会