培養メサンギウム細胞と糸球体腎炎におけるheparin‐binding EGF‐like growth factor(HB‐EGF)の発現とその役割
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概要
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新しい成長因子であるheparin-binding epidermal growth factor-like growth factor (HB-EGF) のメサンギウム細胞における発現の証明とその誘導因子,ならびに糸球体腎炎の発症・進展過程における役割について検討した。培養ラットメサンギウム細胞を用いた検討では,HB-EGFは,H2O2によるoxidative stress,炎症性cytokineであるTNF-αやIL-1βにより誘導された。また,proteinase C (PKC) activatorであるphorbol esterによっても誘導されること,またそのblockadeであるstaurosporinにて発現が抑制されたことから,HB-EGFの発現は,PKC dependent pathwayによることが明らかとなった。recombinant HB-EGFの添加により,メサンギウム細胞増殖は,コントロールと比較して,4~5倍に増強され,また同時にtype I,III collagenの発現亢進が認められた。ヒト腎生検組織やメサンギウム増殖性腎炎モデルであるラット抗Thy 1.1抗体腎炎モデルを用いた検討によりHB-EGFの発現は,メサンギウム細胞の増殖と強く相関すること,また糸球体内での発現細胞は,メサンギウム細胞と浸潤細胞であることが明らかとなった。以上のような成績から,HB-EGFは,自身の分泌によりautocrine的に,また浸潤炎症性細胞からparacrine的に分泌され,メサンギウム細胞の増殖と細胞外マトリックスの産生促進作用を介して糸球体腎炎の進展に関与しているものと思われる。
- The Japanese Society for Pediatric Nephrologyの論文
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