アムロジピンの関与が疑われる腹水貯留を来したSLEの1例
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概要
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アムロジピンを含むジヒドロピリジン系のカルシウムチャネルブロッカー (CCB) は以前より腹膜透析中の乳糜腹水との関連が指摘され,また同じジヒドロピリジン系CCBのマニジピンにより著明な乳糜腹水を生じた全身性エリテマトーデス (SLE) の報告も存在する。われわれはSLEの経過中にアムロジピンの関与が疑われる腹水貯留を来した症例を経験した。アムロジピン開始10日頃より腹水を生じた本症例は同剤中止後,約3週間で腹水が消失し,腹水発症とアムロジピンとの関連性を推測させた。腹水発症の機序としてCCBによる腹膜血管/リンパ管平滑筋への拡張作用に加えて,SLEの潜在的な腹膜血管/リンパ管の炎症による透過性亢進が影響したものと推測した。ジヒドロピリジン系CCB使用に際しては副作用として腹水が存在すること,特にSLEでは腹水発症を助長する修飾因子が存在する可能性があることに留意すべきである。
著者
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田村 啓成
秋田大学大学院医学系研究科小児科学
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野口 篤子
秋田大学大学院医学系研究科小児科学
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高橋 郁子
秋田大学大学院医学系研究科小児科学
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土田 聡子
秋田大学大学院医学系研究科小児科学
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高橋 勉
秋田大学大学院 医学系研究科 医学専攻機能展開医学系小児科学講座
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