Pseudomonas aeruginosaのバイオフィルム形成と抗菌薬抵抗性に関与する遺伝子ネットワーク
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概要
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Pseudomonas aeruginosaはcompromised hostにしばしば難治性慢性感染症を惹起する。その主な要因として,バイオフィルム形成能が高く抗菌薬に対する抵抗性が高いことが挙げられる。近年バイオフィルム形成のメカニズムについてはquorum sensing(QS)システム(密度感知機構)やcyclic di-guanosine monophosphate(c-di-GMP)等のグローバルレギュレーターの関与が明らかになり,また共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いたバイオフィルム内の遺伝子発現と形態的解析が進み,生理的性状の異なる多様な細胞集団で構成された多細胞生物的な構造を形成することが明らかになってきた。しかし抗菌薬抵抗性のメカニズムについては,まだその詳細は明らかではない。これまでに浮遊状態の細菌は,環境中の栄養源,pH,アルコール,浸透圧や菌体内代謝産物など各種のストレスを感知し,副次的σ因子やQSを介して,固相表面に付着しマイクロコロニーさらに菌体外マトリクスを形成することによりバイオフィルムへと移行し,各種の環境ストレスに対する抵抗性が上昇する。本稿では,P. aeruginosaのRpoS, RpoN等のストレス関連σ因子やQSおよびc-di-GMPなどのセカンドメッセンジャーと抗菌薬抵抗性との関連性について,P. aeruginosaのライフサイクルとの関わりを含めて,最近の知見を中心に概説する。
著者
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三宅 洋一郎
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部
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小野 恒子
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部微生物・遺伝子解析学分野
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村上 圭史
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔微生物学分野
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