都市林に発生したブナ科樹木の萎凋病―京都御苑における被害の実態―:—京都御苑における被害の実態—
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
市街地に位置する京都御苑において, 2009年から2010年までブナ科樹木の萎凋病の発生状況を調査した。被害は, 外部から侵入したカシノナガキクイムシによるものと考えられ, 342本の樹木が穿入を受け, そのうち71本が枯損した。穿入木は, 苑内に広く分布した。苑内に生育するブナ科13樹種のうち12樹種にカシノナガキクイムシの穿入が確認され, そのうち9樹種に枯損木が発生した。穿入率の高いシリブカガシは, 穿入木に占める枯損木の割合 (以下, 穿入木枯損率) が低かったのに対し, 穿入率の低いマテバシイの穿入木枯損率は高く, 穿入率と穿入木枯損率に相関はなかった。マテバシイ, スダジイ, アラカシで穿入密度が大きくなるほど穿入木枯損率が上がり, 同じ穿入密度レベルではマテバシイが最も枯れやすかった。多くの樹種で大径木ほど枯損する確率が高く, 大径木におけるカシノナガキクイムシの穿入防止対策の必要性が示唆された。
著者
-
今井 昌彦
環境省京都御苑管理事務所
-
高橋 博幸
環境省京都御苑管理事務所
-
関根 達郎
環境省京都御苑管理事務所
-
中西 甚五郎
環境省京都御苑管理事務所
-
川津 幸枝
環境省京都御苑管理事務所
-
飯田 尚樹
環境省京都御苑管理事務所
-
山本 昌世
環境省京都御苑管理事務所
-
若林 大一
環境省京都御苑管理事務所