スニチニブとオキシコドンによる難治性嘔気・嘔吐にミルタザピンが著効した1例
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概要
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【緒言】ミルタザピンはノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)で, 5-HT3受容体拮抗作用をもち, 嘔気を改善する先行研究が報告されている. 【症例】38歳, 女性. 遠隔転移を伴う進行腎がんに対し, スニチニブとオキシコドンを投与した. 経過中に出現した難治性嘔気・嘔吐に, ミルタザピン1.875 mg/日を開始した. 開始翌日に嘔吐は消失し, 2日目に3.75 mg/日へ増量したところ, 3日目には嘔気も消失した. 消化器症状でスニチニブとオキシコドンを中止することなく治療を続行できた. ミルタザピン15 mg/日の投与量では眠気が出現することがあるが, 今回の低用量投与で眠気はみられずに消化器症状の改善が得られた. 【結論】ミルタザピンの低用量投与は, スニチニブとオキシコドン併用時の難治性嘔気・嘔吐に対して, 有効な選択肢の1つであると考えられる.
著者
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西村 大作
同 内科
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戸倉 由美子
同 薬剤科
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柴原 弘明
豊田厚生病院 緩和ケア科
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植松 夏子
同 薬剤科
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今井 絵理
同 薬剤科
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伊勢呂 哲也
同 泌尿器科
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惠谷 俊紀
同 泌尿器科
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池上 要介
同 泌尿器科
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神谷 浩行
同 泌尿器科
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橋本 良博
同 泌尿器科
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岩瀬 豊
同 泌尿器科
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