奄美大島における鳥類の窓ガラスへの衝突事故の発生状況
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概要
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奄美大島における鳥類の窓ガラスへの衝突事故について調査した.2006年 4 月から2012 年 3 月までの 6 年間に,63 件(11 種)の衝突事故が確認された.衝突事故は一年を通して発生しており,夏鳥のアカショウビンHalcyon coromanda,留鳥のズアカアオバトSphenurus formosae,冬鳥のシロハラTurdus pallidus などで多かった.オーストンオオアカゲラ Dendrocopos leucotos owstoni やカラスバトColumba janthina など,絶滅が危惧される種でも衝突事故は見られた.衝突死した個体では,叉骨,烏口骨などを含む胸帯や,胸椎,肋骨,胸骨によって構成される胸郭の骨折が目立ち,またほとんどの個体で肺,心臓,肝臓などの器官からの出血が認められた.衝突事故は観光施設や公共施設,学校など大型の建物で多く発生していた.衝突事故を減らすためには,これらの施設で対策をとるよう普及啓発活動を行なうことが重要である.また,今後奄美大島で大型の施設を建てる際には,鳥類の衝突を未然に防ぐような設計上の工夫を施すことが望まれる.