ゲフィチニブが肺高血圧症を改善したpulmonary tumor thrombotic microangiopathyが疑われた肺癌の1例
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概要
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背景.pulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)は,肺動脈の内皮の増生を伴う腫瘍塞栓が特徴的な臨床病理学的所見である.血管抵抗の増加により肺高血圧症となり極めて予後が悪い.症例.症例は64歳女性で,経気管支肺生検によって肺腺癌による肺高血圧症と診断し一部にPTTM様の組織を認めた.epidermal growth factor receptor(EGFR)遺伝子にexon19の欠損を認め,EGFR-tyrosine kinase inhibitor(TKI)であるゲフィチニブ(gefitinib)にて治療を開始したところ,肺高血圧症が改善した.投与9日目にゲフィチニブ関連間質性肺炎を発症したが,ゲフィチニブの中断とステロイドパルス療法とその後経口ステロイドを維持量にて治療を行い,患者の呼吸苦は改善し胸部X線単純写真の間質陰影は軽快したため第46病日に退院した.結論.この症例はPTTMが疑われた肺癌患者の肺高血圧症がゲフィチニブで改善した1例である.肺癌患者において急速に進行する呼吸不全を伴った場合にはPTTMの可能性を疑い,早期の遺伝子変異の診断と速やかな治療効果が期待できる薬剤の選択が予後を改善する可能性がある.
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