γ-Fe2O3によるヒ素の吸着挙動と温度特性
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概要
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ヒ素は発癌性を有する物質であり,地下水のヒ素による汚染は環境問題となっている.水溶液中のヒ素の除去を目的として種々の金属酸化物による吸着除去試験を行った.実験結果からヒ素との親和力が強く,安価で人体に無害であるFeの酸化物を吸着剤として用いることとした.Fe21とFe31のモル比を変化させてγ-Fe2O3を合成した.ヒ素は地下水中でAs(III)およびAs(V)として存在し,pHに依存してその存在形態が変化する.γ-Fe2O3を用いてヒ素の吸着除去試験を行い,除去率におよぼすpHの影響を調べた.除去挙動とヒ素吸着前後の吸着剤表面の電位の変化から吸着現象を検討した.pH 7以下で中性種(H3AsO3)として存在するAs(III)はファンデルワールス力のような物理的な作用または化学的な作用によって吸着される.As(V)はpH 1以上で陰イオン(H3AsO32,H2AsO32)として存在しており,等電点以上のpHでは静電的反発力が大きく作用していると考えられる.温度による吸着特性を調べた結果,As(III)の吸着には温度による変化はみられなかったが,As(V)は温度依存性が強いことがわかった.
著者
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芝田 隼次
関西大学環境都市工学部
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村山 憲弘
関西大学環境都市工学部エネルギー・環境工学科
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三好 貴之
関西大学環境都市工学部 エネルギー・環境工学科
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村山 憲弘
関西大学環境都市工学部
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三好 貴之
関西大学環境都市工学部エネルギー・環境工学科
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南 翔子
関西大学環境都市工学部エネルギー・環境工学科
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