コロトコフ音出現時間 (QKd) と血中甲状腺ホルモン濃度との相関々係について
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概要
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甲状腺機能亢進症および低下症のQKdと血中甲状腺ホルモン濃度との相関々係について検討した<BR>1) QKdは血中T<SUB>4</SUB>およびT<SUB>3</SUB>の一定濃度, すなわち, T<SUB>4</SUB>では約18μg/dl以下, T<SUB>3</SUB>では約400ng/dl以下で, T<SUB>4</SUB>およびT<SUB>3</SUB>との間に負の相関々係があった.相関係数はそれぞれ-0.59および-0.62であった.またこれらのT<SUB>4</SUB>およびT<SUB>3</SUB>濃度以上では, QKdはほぼ一定であった.<BR>2) QKdと血中FT<SUB>4</SUB>IおよびFT<SUB>3</SUB>Iとの相関も同様で, QKdはFT<SUB>4</SUB>Iが18以下, FT<SUB>3</SUB>Iが280以下で, 負の相関々係があり, 相関係数は, それぞれ-0.80および-0.74であった.<BR>3) QKdは甲状腺機能異常で明らかに変動し甲状腺機能異常を治療することによってQKdも正常化した.このさいのQKdの変化は, 血中FT<SUB>4</SUB>IおよびFT<SUB>3</SUB>Iの動きと良く並行した.<BR>4) 抗甲状腺剤投与中の甲状腺機能亢進症では, 血中FT<SUB>4</SUB>IおよびFT<SUB>3</SUB>Iが正常である例のQKdにくらべて, FT<SUB>4</SUB>IおよびFT<SUB>3</SUB>Iのいずれか一方が正常値以上の例のQKdの方が短縮していた.<BR>5) 補充療法を行っている原発性甲状腺機能低下症のTRH-testにおける反応性の有無とQKdとの間には特別な関係が得られなかった.<BR>以上からQKdは甲状腺機能異常診断のスクリーニング法の一つとして, 迅速かつ再現性の良好な結果を提供するものでありまた, 甲状腺機能亢進症に対する抗甲状腺剤投与量の適否を決めるためにも, 迅速に判断し得る一つの指標として, 臨床上極めて有用であると考えられる.
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