胃静脈瘤からの出血:-病理学的検討-
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概要
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胃静脈瘤予防治療の是非を検討するには胃静脈瘤の病態と破綻した症例の病理学的所見の検討は欠かすことは出来ない.われわれは19例の穹窿部静脈瘤にゼラチン添加バリウムを注入, その血管構築を検討し, さらに8例の胃静脈瘤からの破綻出血例を経験したのでこれらの検討から得られた成績を述べる.1) 胃静脈瘤は粘膜下層を蛇行して走行する大きな拡張した血管からなっている.2) 胃壁内で分枝する血管は少なく, 食道静脈瘤のように静脈瘤が重積することはほとんどない.3) 破綻した例では静脈瘤壁の断裂と共に粘膜筋板, 粘膜固有層も断裂している.4) 破綻周囲の粘膜の炎症の程度は強い例もあるが全体的には破綻と炎症の関係は明らかではない.これらの成績より胃静脈瘤では一旦破綻すると食道静脈瘤と異なり, その出血量は多く, 治療に難渋することが考えられる.
- The Japan Society for Portal Hypertensionの論文