福祉NPOの社会学的理解に向けて:住民参加型在宅福祉サービス団体の組織特性
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概要
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本稿は,福祉NPOの組織特性を過去に行った調査から検討することで,福祉NPOへ社会学的に接近する上での分析枠組みの提示を試みたい,もっとも,福祉NPOと一口にいっても,それをどのように規定するかにより議論の方向性が大きく異なる.ここでは,主として住民参加型在宅福祉サービス団体を対象として過去に実施した3つの調査を振り返る.調査結果のポイントは,当該団体の利用者と提供者の多くが共に同一の地域住民,かつ同一の組織の参加者であり,時に双方が入れ替わる構造を持っという点,そうした構造を何らかの程度で有する組織が全体の約7割を占める点,そして参加者個人の側から見ても,利用者側の17.4%,提供者側の14.3%でそのような相互的な経験を有している点にある.こうした構造は,利用者・提供者間の情報の不確実性の解消につながり,福祉サービス利用において欠かせない「信頼」という観点からの有効性が考えられる.また,この相互性の組織特性という視点は,信頼の問題のみならず,組織とコミュニティの関係の問題地域社会のあり方やその歴史的経緯との関連,そして社会関係資本の問題など,福祉NPOという現象へ社会学の古くて新しい問題関心から接近する上での糸口となろう.
著者
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