地域概念再構築の福祉的課題
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概要
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社会学が福祉的課題を扱う時,個々人の生老病死,障害,失業,被差別,不安,孤独,虐待等々に対処療法的に関わるよりは,むしろその福祉課題を生み出したり,解決を図ったりする社会的コンテキストの解明に力を注いできた.政治経済や社会文化といった制度や価値体系の中に組みこまれた社会的カテゴリー,階級,集団,社会的ネットワーク,地域を媒介にして,個々人は特定の福祉的課題が課せられるのであり,それを解決するためにも個々人は媒介過程に働きかけるという図式にしたがって,社会学は調査研究を重ねてきた.特に日本においては,地域という媒介過程に関心が強く寄せられ,地域ごとに多様に現れる福祉課題と,それらを解決する上での「地域福祉」の必要性をめぐる論議を展開してきた.しかし,今日住民生活行動の広域化や広域行政の進展などに伴って,地域の範域や,地域活動の可能性について,実態に即した地域概念の再検討が迫られている.
- 福祉社会学会の論文