援助実践の社会学:その課題と可能性
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概要
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社会福祉は「制度政策」と「援助実践」というマクロ・ミクロ2つの側面から成り立っが,日本における福祉社会学の展開はこれまで「制度政策」研究が中心であり,「i援助実践」に関する研究は相対的に少なかった.「援助実践の社会学」は何を主題とし,どんな理論的射程をもつのか,その見取り図を描くことが本稿の課題である.その際同じくヒューマン・サービスに関わる制度と実践を研究対象としてきた医療社会学の成果が参考になる.これによって,医療実践と福祉実践の比較という作業が可能となり,さらに,「医療化」と「福祉化」という現代のマクロな社会変動をミクロな場面で考察することも可能となる.このような観点から,専門職と専門性の変容というテーマについて考察した結果,「専門化」という社会変動はこれまで「近代化」とともに進展してきたが,いままさにその進展の帰結として「脱近代化」という課題に直面しており,現代の援助実践は「近代化」と「脱近代化」という2つの社会変動のはざまで揺れ動いていることが明らかとなった.こうした変容のゆくえを見据えることが「援助実践の社会学」の重要な課題となる.
著者
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