福祉改革と家族変動:2つの制度領域間のインターフエイス
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概要
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90年代の社会福祉基礎構造改革の展開と軌を一にして,政策論議の場で盛んに「家族」が論じられるようになった.とりわけ,「少子高齢化」の進行は,近代家族が抱える問題や矛盾を象徴するとともに,社会福祉基礎構造改革の必要性を語る際にも,まず筆頭にあげられる重要なキーワードであった.そして,このことも契機となって,近年では家族研究,福祉研究両分野で,「家族福祉」「家族政策」に関する議論が活発におこなわれるようになった.しかし,それらの多くは,基本的概念のコンセンサスさえ得られていないばかりか,不毛なイデオロギー論争にのみ終始する場面も見受けられる.「家族と福祉政策」に関する研究の累積的展開は,なお今後の課題だといわねばならない.<BR>本稿ではまず,「家族と福祉政策」に関する議論に混乱をもたらす主要な要因として,「考察対象の政策範疇」「政策領域の分断」「価値要因の影響」の3点について論じる.次いで,近年の家族変動と福祉改革がそれぞれ独自の論理で展開しつつも,両者のインターフェイス部分でさまざまな影響関係や葛藤が生じていることに注目する.そこでは,「家族の自助原則」「ジェンダー・ジェネレーション規範」「自己決定の原理」という3種の規範を中心として,試論的な考察をおこないたい.
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