Multiple biopsyによる橋本病の診断
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概要
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橋本病 (広義, 散在性甲状腺炎を含む, 以下同じ) 54例を対象として手術生検の診断上の精度と限界を検討した.橋本病の左右腺葉間の組織型には差がないが, 診断, 組織型の判定, 合併する他疾患の検索の点でsingle biopsyは不充分であり, multiple biopsyによる結果は良好である.<BR>橋本病と甲状腺癌, Graves病, 単純性び漫性甲状腺腫との合併は一応14-21%に達するが, その組織型は橋本病単独の場合と異り散在型 (2) *<SUP>1</SUP>が多く, またこの際の散在型 (2)は臨床的に甲状腺の腫大, 硬度の増加, 色調の変化などを示さないものが多い.なお免疫反応などの臨床的諸検査で橋本病としての特徴が多く見られる組織型はび漫型, 散在型 (3) *<SUP>2</SUP>, 結合織増殖型, 散在型 (2) の順であり, 散在型 (2) では殆んどその特徴が見られない.従つて散在型 (2) は, 臨床的には橋本病の範疇には入らないかあるいはその境界領域に属すると思われ, 逆に生検によりこの型に邁偶した場合は合併する他疾患の存在を疑う必要がある.
- 一般社団法人 日本内分泌学会の論文