脳下垂体摘出白鼠のglucose tolerance及びinsulin responseについて
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概要
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脳下垂体が糖尿病の発症と関係のあることはHoussay及びYoungによつて実証されたところである.そこで血中insulinの測定が可能となつた今日, この問題を検討するために脳下垂体摘出動物における耐糖性及びブドウ糖負荷に対するinsulinの分泌反応を検討した.即ち白鼠の脳下垂体を摘出しその10日後に24時間絶食し, 2gのブドウ糖を経口的に負荷し約2時間にわたり経時的にエーテル麻酔の下で採血し, 血糖と血中insulin (IRI) を測定した.空腹時の血糖値は対照に比べやや低下し低血糖の傾向を示し, ブドウ糖負荷に対する血糖の反応及び血中insulinの反応はいつれも著明に低下していた.下垂体の機能の低下時にはinsulinに対する感受性の増加が認められることがわかつているが, この現象はLuftらのいうcompensation hypothesisを裏づけるものであり, 下垂体の摘出によりanti insulin系の機能低下に適応するためinsulin分泌の低下が起るものと解される.
- 日本内分泌学会の論文