4.Hyperinsulinismにおけるインスリン分泌機構と調節
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概要
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Hyperinsulinismとは空腹時もしくは食餌やストレス, その他種々の膵島β細胞刺激物質によるインスリン分泌の過剰状態をいうのであるが, その原因には器質的なものと機能的なものがある.前者の代表は膵島β細胞の腫瘍すなわちInsulinomaであり, 後者の代表として肥満ことに体重の急激に増加するDynamicobesityがあげられる.<BR>このシンポジウムで私どもがインスン分泌機構と調節についてとりあげたいのは器質性HyperinsulinismであるInsulinomaである.近年診断技術の進歩と医師の本症に対する関心の高まりによつて, わが国でもこの数年の間に症例報告が急速につみ重ねられ, すでに60例を数えている現状である.しかしInsulinomaの臨床所見や鑑別診断についても種々興味のある問題もあるが, 本症は生理的に必要とする以上のインスリン分泌が行なわれるものであり, 膵島β細胞のインスリンの産生, 細胞内での貯蔵および血流中への放出など分泌機構とその調節機序を知る上に好個な材料を提供している.私どもは最近Insulinomaの2例を経験し, 種々のインスリン分泌刺激物質および抑制物質を負荷した後の血清インスリン (IRI) の動向ならびに形態学的に主として電子顕微鏡によるβ細胞の微細構造の観察を行なつた.
- 日本内分泌学会の論文