副腎の catecholamine 分泌に対する vasopressin の影響
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概要
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ネズミの副腎及び副腎静脈血に含まれる catecholamine を測定して, 副腎髄質からの catecholamine 分泌に対する vasopressin 投与の影響を検索し, その結果を得た.<BR>1) vasoPressin を腹腔内に単一注射又は反覆注射したが, 副腎の catecholaminc 含有量は, 有意の変化を示さなかつた.<BR>2) vasopressin を静注しながら副腎静脈血を採取した場合には, 約半数例に於いて adrenaline の分泌増加が認められたが, 残りの例では殆んど変化がみられなかつた. noradrenaline の分泌量には, I例を除いて全く変化がなかつた.<BR>3) acetylcholine を静注した場合には, adrenaline, noradrenaline 共にその分泌量が増加したが, 特に adrenaline の分泌増加が著しかつた.<BR>4) vasopressin を静注しながら acetylcholine を投与した場合には, adrenaline の分泌増加量は, acetylcholine のみを投与した際の分泌増加量を, はるかにうわまわつた. noradrenaline の分泌増加量は, acetylcholine のみを投与した場合と大差がなかつた.<BR>以上の結果から次の事が推論される.即ち vasopressin は副腎の catecholamine 含有量を変化させる程の大きな影響を副腎髄質に与えないけれども, なお副腎髄質からの catecholamine 分泌を増加させる可能性がある.特に vasopressin は acetylcholine に対する副腎髄質の感受性を高めて, acetylcholine による副腎髄質からの adrenaline 分泌を増大させるものと考えられる.
- 一般社団法人 日本内分泌学会の論文