歯垢より分離された<I>Stomatococcus mucilaginosus</I>について
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概要
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成人の歯垢に常在する細菌でレソサ球菌以外の好気性ないし通性嫌気性球菌のうち, <I>Stomatococcus mucilaginosus</I> (<I>Micrococcus mucilaginosus</I>) と思われるもの49株について検索した.これら分離株はカタラーゼの産生の有無 (49株中1株が産生) により2群に分かれるが, 他の性状はほぼ均一で, 同一のspeciesと考えられた.分離株はpairないしclusterを形成する大小不ぞろいの球菌で, 通性嫌気性であるが, 好気的環境下のほうが良好な発育を示した.gelatin, casein, esculinを水解し, NO<SUB>3</SUB>, NO<SUB>2</SUB>を還元した.H<SUB>2</SUB>S, indoleの産生は認められなかった.glucoseを酸化および発酵により分解した.5%NaC1, 40%Bileは発育を阻止した.分離株のうち代表的な4株のDNAの塩基組成 (G+C含量) は46.7-47.0mol%であった.分離株はすべて菌体外に粘稠性の多糖を産生した.これら多糖は培地固着性の要因となっているように思われたが, 試験管壁などガラス表面への付着性は認められなかった.これらの性状は<I>Micrococcus mucilaginosus</I>の標準株CCM 2417とほとんど-致するものであった.また<I>Micrococcus mucilaginosus</I>の標準株CCM 2417で作製した免疫血清を用い, 菌体凝集反応を行ったが, 分離株はすべてこれら抗血清と反応し, 抗原的にも<I>Micrococcus</I>との共通性を示した.以上の点から本実験で分離した49株は<I>Stomatococcus mucilaginosus</I> (<I>Micrococcus mucilaginosus</I>) と同定しうるものと思われた.<I>Stomatococcus</I>は従来, 舌表面および咽頭部から多く分離されているが, 本実験で検索した菌株はすべて歯垢から分離されたものであり, この結果<I>Stomatococcus</I>は歯垢中にもかなり多数常在することが証明された.
著者
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江藤 由美子
昭和大学歯学部口腔細菌学教室
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高橋 光良
昭和大学歯学部口腔細菌学教室
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鷹森 健志郎
昭和大学歯学部口腔細菌学教室
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山本 綾子
昭和大学歯学部口腔微生物学教室
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水野 芙美子
昭和大学歯学部口腔細菌学教室
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