肢端肥大症に合併した糖尿病の2例:(特に其病種に就ての考察)
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概要
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第1例:<BR>1) 約36歳頃から發した肢端肥大症を有する60歳の女で, 58歳頃 (推定) から併發した糖尿病に就て, 主として糖尿病の本態病種に關して檢討を行つた.<BR>2) 本症例では糖處理機能失調度及び治療に依る該機詣恢復度, 攝取糖質量増減の血糖, 尿糖に及ぼす影響等の點からは膵性糖尿病性と見られたが, 對Insulin抵抗性, Insulin治療の効果, 竝びに總合的治療効果の判定上から膵外性糖尿病と診せられた. 即ち本症例では其糖尿病は膵性諸因子を持つと共に, 膵外性諸因子をも併有する. 換言すれば, 膵「ラ」氏島機能低下と下垂體前葉機能昂進とも併有する對Insulin抵抗性多腺性糖尿病と斷ぜられた.<BR>3) 下垂體副腎皮質系機能檢査では, Tborn's testに著明な異常が證せられACTHによる對Steroid Hormones尿排泄態度に於て稍々著明な對應能を示し, CATH及びCortisoneによる血糖變化では多腺性糖尿病に近い血糖變化像を示した.(本論文の要旨は昭和28年5月日本内科學會近畿地方會で發表した.)<BR>第2例<BR>4) 64歳の肢端肥大症を有する男子で, 約56歳頃から併發した糖尿病に就て糖尿病病種の檢討を行つた.<BR>5) 入院時糖處理機能檢査では, 亞重症と診せられ, 約20日間の入院食餌療法を施行したに拘らず退院時の檢査で糖處理機能改善が認められない上に, 造糖能が旺盛で, 對Insulin抵抗性を證せられた.<BR>6) 下垂體前葉副腎皮質機能檢査では, Thorn's testには異常を證せられなかつたが, ACTHによる對Steroidホルモン尿排泄態度に就て, 著明な對應能を有する事を證せられ, ACTHとCortisoneによる血糖變化では, ACTHによつて輕度, Cortisoneによつては著明な血糖降下作用のあるのを證せられた.<BR>7) 以上の糖處理機能檢査成績, Insulin感性変, 旺盛な造糖能を有する等の點から本節2例は膵外性糖尿病に該當すると推考せられるのであるが, 尚下垂體副腎皮質系機能檢査に於けるACTHに對するSteroid hormones尿排泄態度, 及び3種ホルモンによる血糖變化成績等からも本症例は, 膵外性糖尿病と診斷せられるのである.
- 日本内分泌学会の論文
著者
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馬場 茂明
神戸醫科大學第二内科教室
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古林 健
神戸醫科大學第二内科教室
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井上 功
神戸醫科大學第二内科
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藤田 嘉一
神戸醫科大學第二内科
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若林 健三
神戸醫科大學第二内科
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恒川 洋
神戸醫科大學第二内科
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片山 咬一
神戸醫科大學第二内科
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小西 明和
神戸醫科大學第二内科
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古林 健
神戸醫科大學第二内科
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