抑うつ傾向と感情価が心理的時間に及ぼす影響
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概要
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本研究の目的は,抑うつ傾向と感情価が時間評価に及ぼす影響について検討することであった。大学生23名(抑うつ群10名,非抑うつ群13名)を対象に,標準化された感情価画像44枚を呈示する実験を行った。そのうち快,中性,不快の感情価を代表する9枚が表示されていた時間について,実験参加者に秒単位で回答を求め,評価時間を群間で比較した。なお,実際の呈示時間は6秒であった。不快な感情を喚起する画像の条件では,抑うつ群の評価時間が非抑うつ群の時間評価よりも有意に長く評価されることが明らかとなった。この結果から,抑うつ傾向を持つ者は,不快刺激をきっかけに抑うつ的な情報処理が活性化されやすく,必要以上にネガティブな長期記憶を思い出すことにより,時間評価が延長する可能性が示唆された。