日本の薬価制度:イノベーションと保険償還の狭間で
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概要
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一般の商品は,自由市場における需要と供給の一致点で価値が評価されて価格が決定される(ことになっている).一方,医療という公共性の強い世界の中に存在し,国民皆保険制度が敷かれている日本では,医薬品の価格は公定価格制となっている.日本における新薬の薬価は,中央社会保険医療協議会(以下,中医協)における薬価算定基準という複雑なルールに基づいた評価・了承を経て,厚生労働省が決定し薬価基準収載される.自由競争社会に生きる製薬企業が生み出すイノベーションの成果たる医薬品と,社会主義的環境にある医療の世界で使用される医薬品という二面性が複雑な薬価算定ルールを生み出し,薬の価値評価を困難なものにしていると言える.