早期発症型歯周炎患者のテロメア長に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
早期発症型歯周炎 (early-onset periodontitis: EOP) の進展には, 遺伝子を含む多くの宿主リスク因子が関わる。本研究では, EOPの進展に早期老化が関与する可能性を検討する目的で, 末梢血白血球のテロメア長および歯肉由来線維芽細胞の継代培養ごとのテロメア長の短縮率をEOP患者および同年代の健常者との比較から調べ, EOPの進展におけるテロメアの関わりを考察した。<BR>EOP患者21名および健常者50名から末梢血を採取し, 上記の被験者10名を含むEOP患者6名および健常者7名の歯肉を採取し, 老化細胞になるまで継代培養した。末梢血白血球および歯肉線維芽細胞からゲノムDNAを抽出し, サザンハイブリダイゼーションによってテロメア長を調べた。EOP患者および健常者群間で末梢血白血球のテロメア長に有意差はなかった (p=0.20)。テロメア長の年間短縮率は, 年齢に対して有意な負の相関を示し, 2群間で有意差はなかった (p=0.64)。被験者間のテロメア長は, 大きな個体差を示し, テロメア長が極端に短いEOP患者が存在した。歯肉線維芽細胞の継代ごとのテロメア長の短縮率には両群間で差がなかった。歯肉線維芽細胞における老化特異的酵素の1つであるβ-ガラクトシダーゼ染色陽性率は, 継代数p<0.001) およびテロメア長 (p<0.001) と有意な負の相関関係を示した。<BR>(この結果は, EOP患者は群で見る限り, 全身および局所レベルにおいてテロメア長の短縮を示さなかったが, テロメア長の短いEOP患者群を集め, これら患者の細胞機能を解析する事で, 早期老化の関わるEOPの進展がより詳細に考察できるものと思われる。
- 特定非営利活動法人 日本歯周病学会の論文
- 2002-12-28
著者
関連論文
- C-7-10 : 00 Enamel Matrix Derivative(EMD)を用いた歯周組織再生療法 : 明海大学病院における臨床応用状況
- ハイブリッド修復材に対する Porphyromonas gingivalis の付着に関する検討
- 骨欠損を伴う線維性歯肉増殖症に対する切除型フラップ手術
- A-14-15 : 40 歯周疾患における老化の関わり : 歯周病患者の末梢血白血球のテロメア長
- C-30-16 : 40 早期発症型歯周炎患者のテロメア長に関する研究
- C-10-10 : 40 Bisphenol Aが生体に及ぼす影響に関する研究
- A-10-16 : 20 ヒト歯周炎歯肉におけるインターロイキン17の発現
- Dexamethasone および LPS の歯槽骨吸収への関与
- D-4 人工骨材料の骨誘導能に関する基礎的検討
- D-1 ヒト骨芽細胞株MG63に及ぼすNicotineおよびCotinineの影響について
- C-1-8 : 50 黄連の抗炎症作用の評価 : 活性酸素消去能からみた検討
- B-20-14 : 50 実験的咬合性外傷が骨接合型インプラントの周囲組織に及ぼす影響 : 第4報
- 早期発症型歯周炎患者のテロメア長に関する研究