溶融紡糸過程における結晶化
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概要
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溶融紡糸に関する研究は,紡糸の操作条件と巻取り糸(未延伸糸)の構造的ないしはレオロジー的特性とを関連づけることから出発したが,最近では溶融紡糸中の糸の直径,温度,張力などを化学工学的手法で予測する方法がしだいに確立されてきた.他方,紡糸中の繊維構造の形成に関する構造論的な研究もようやくその緒につき,分子配向下での結晶化のmorphologyと動力学とが,紡糸過程での構造形成を決定する第1の要因であることが明らかになった.ここではポリマーの溶融紡糸中の構造形成について,分子配向下での結晶化という観点から,普遍的な現象と各々のポリマーの特殊性とを対比して述べる.また,分子配向下での結晶核生成のメカニズムにもふれ,溶融紡糸過程における結晶化を理解するうえでの助けとしたい.あわせて,結晶化を考慮して溶融紡糸の工学的解析を行なうのに,われわれにどのような知識がなお不足しているかを考えてみたい.
- 社団法人 高分子学会の論文