ポリオキシメチレン結晶の熱運動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
結晶性高分子の微細構造は非常に複雑であり,その構造の多様さに対応して,多様な分子の運動形態があることが想像される。高分子の熱運動については,力学的,誘電的な方法が主に用いられてきたが,それらの方法と比べてX線の方法は結晶部分の運動だけを運動の異方性をも含めて取り出して調べることができる点に特長がある。結晶内の分子が熱運動を行なっている時は,ある瞬間での原子位置による散乱線の重ね合わせの位相関係が規則的な位置に原子がある場合と比較して,ずれることにより,その時間平均として,Bragg反射点における強度は減少し,また一方では,Bragg点以外の場所へ散漫な散乱となって現われる。この総説では,主にポリオキシメチレンの結晶内の熱運動をX線的に求め,微細構造や,物性との関連性を検討する。
- 社団法人 高分子学会の論文