テトラオキサン
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概要
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テトラオキサンは,1925年Staudingerらによって発見されて以来,その確立された製造法がないままに放置されていた。したがって,その性質も一端が知られているのみであった。1962年われわれのグループによって,テトラオキサンの製造法が確立され,大量のサンプルが得られるようになってから,テトラオキサンのユニークな性質が次々と現われて来た。その結果,テトラオキサンは,繊維加工剤として,誠にすぐれた性能を有していることが明かになった。従来,繊維素繊維を主体とした天然・再生繊維,あるいはこれら繊維と合成繊維との混合された繊維織物・編物などは,その要求される性能に応じ,いろいろな樹脂や加工剤が使用されて来た。しかし,テトラオキサンは,従来の樹脂加工剤とは,構造および作用機構が全く異なり,世界でも初めてのこの分野への応用であり,特に,合成繊維と繊維素繊維との混紡交織製品に対して,卓越した作用効果を有し,従来の樹脂・加工剤では到底得難き性能を製品に与える。かくして,テトラオキサンは,そのユニークな性能を活した繊維加工剤という用途を見つけたことによって,ここに,世界で初めて工業的に生産されることになった。
- 社団法人 高分子学会の論文