人工腎臓と膜
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概要
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人工腎に用いられる膜は,その発祥から現在に至るまで一貫してセルロース膜である。この王座は当分動きそうにない。ではいまのcuprophane膜に満足しているのかといえば,決してそうではない。透過性・強度いずれの点でも不満が多い。他の膜が提供されないから, できの悪いcuprophaneでガマンしているというのが現状である。<BR>新しい膜を開発する研究も数多く行なわれている。どれも実用化に至らないのは, 個々の点ですぐれていても総合点になるとcuprophaneより卓越したものがないからである。透過性の点はともかく, ダイアライザーという特殊構造に組み入れられたときの機械的強度に難点のあることが多い。<BR>新しい膜の中で実用化に近い点まで達しているのは,いずれも天然高分子(セルロース, コラーゲン) の膜である。とりあえずはそれらの膜でcuprophaneの欠点を補なっていくことになる。しかし将来的にみれば,抗凝血性や高度の選択性が要求されており,そのような膜としては合成高分子の膜に期待するところが大きい。
- 社団法人 高分子学会の論文