発生ガスの有毒性 : -ある被災者の実例を中心に-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
建材・インテリア・家具が木・紙により構成された昔の時代では,火災によるガス中毒としてCO中毒が注目された。建材や家具に各種高分子化合物が取り入れられ電化が進み、電線(被覆材)が建物に多く存在するわれわれの近代的文化生活における災害に伴うCO中毒では,他の燃焼発生剌激ガス中毒合併を十分考えねばならない。最近北陸トンネル夜行急行炎焼事故の一被害者の治療を行なった時,火災客車内各種高分子化合物燃焼に伴うと想像される有毒ガスの障害発生の可能性を考慮せざるをえなかった。列車は新しい種の建材を十分取り入れかつ完全に電化された文化的住宅の一種とも考えうるうえに,千日前デパートの火災の記録をふり返ってみても同じようなことが問題になりうるのでないか?Boston Cocoanut・Fireという災害医学の歴史上有名な火災被害者医学的記載に出発したこの方面の研究は,約30年,やけどとCO中毒に終始してきたが,われわれの生活様式の近代化に伴い,災害医学の実際も変貌した。
- 社団法人 高分子学会の論文