生体膜の構造とその形成
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概要
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タンパク質と核酸で代表される生体高分子の構造や生合成過程の解明がかなり進んできた時点で生化学者,生物物理学者の興味はこれらの分子がさらに多数集合して形成されている生体構造へと向けられたが,そのおもな目標の一つは生体膜であった.この分野での過去10年間の知識の進歩は著しく,生体膜についての実験結果をかなり満足に説明できる膜構造の模型が考えられるようになった.生体膜はリン脂質2分子層と膜に組み込まれた疎水性タンパク質分子とのモザイク状構造のようで,しかもこれら膜構成分子がかなり動きの自由度を持っている柔らかい構造体らしい.膜の脂質,タンパク質は生体内では絶えず,分解を受け,新たに合成された分子で置き換えられている.つまり,生体膜は細胞内では絶えず補修を受けており,構成成分の合成と分解の動的な釣り合いの上に構造が維持されていると思われる.
- 社団法人 高分子学会の論文