環状エーテルの開環反応と重合
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概要
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環状エーテルの開環様式は比較的簡単であるので,種々の構造の環状エーテルの開環反応性とイオン重合性を比較し,イオン重合における素反応の役割を考察するのに好都合のモデルである。塩基を触媒とするエポキシドの付加重合や硬化反応では,置換基の電子吸引性が大きく,塩基性の小さいエポキシドほど求核攻撃を受けやすいのは当然であるが,塩基性が大きく反応性の小さいエポキシドの反応では,特に非極性溶媒中の反応において,アルコールなどの活性(酸性)水素原子のエポキシドや触媒との水素結合による反応促進効果が重要となる。カチオン触媒による重合や開環反応では,カルボニウムイオンと平衡にあるオキソニウムイオンに対する求核的二分子反応を経る場合が多い。したがって,これらの反応が環状エーテルの塩基性と環の開きやすさの2因子に支配される。しかし,カチオン触媒の種類により重合体末端の構造や重合度分布型が変わるので,触媒の役割は単純なものではない。有機スズ化合物とエポキシドの反応についても二三の考察を行なった。