健常授乳婦に生じた肺<I>Mycobacterium chelonae</I>感染症の1例
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概要
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生来健康な29歳の女性が職場の健康診断にて胸部エックス線検査にて異常陰影を指摘された。出産後2カ月経過して授乳中であった。呼吸器症状は特に認めなかった。塗抹検査で1+,胸部画像検査では右下肺野に不整型の病変と経気道的に散布されたと考えられる粒状病変を認めた。肺結核症に準じイソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド,ストレプトマイシンによる治療を開始した。その後培養検査にて<I>M. chelonae</I>が証明された。その後の喀痰検査,気管支鏡検査などからも繰り返し<I>M. chelonae</I>が同定され,肺<I>M. chelonae</I>感染症と診断。薬剤感受性検査の結果に基づいてピラジナミド.ストレプトマイシンを中止し,イソニアジド,リファンピシンに加えて,クラリスロマイシンを併用し,治療を継続。以後12カ月間,喀痰検査からの<I>M. chelonae</I>陰性化と画像上の病変の縮小を認めた。HIVなど基礎疾患をもつ患者での非結核性抗酸菌症などの多様化が認められているが,出産や育児以外に基礎疾患や特記すべき家族歴,喫煙など生活歴がない健常の授乳婦に呼吸器感染症を起こすことが比較的まれな<I>M. chelonae</I>による呼吸器感染症に対して,薬剤感受性検査を施行することで良好な転帰をたどった1例を経験した。
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