集団療育におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌保菌児の隔離は必要か
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概要
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療育施設に於いては,理学療法,作業療法など一対一で行うリハビリテーションに加えて,集団で行う保育も社会性を育む上で重要な療育のひとつである.一方,療育に通う児,中でも重症心身障害児は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を保菌していることが多い.従来当センター療育部では,MRSAを保菌している児は隔離扱いとなり,集団保育を提供することが出来なかった.そこで2001年度に,当センター療育部に通う全ての児のMRSA保菌状況を把握した後に標準予防策を徹底した上で隔離を解除して療育を行い,MRSA保菌状況を2007年度まで年2回の培養検査で追跡した.隔離解除前の培養検査は1回のみの検査であったため検出率が隔離解除後より劣っていると予想されたが,隔離解除前のMRSA保菌児数は56名中5名(9%)であったのに対し,隔離解除後の6年間では61名中6名(10%)から53名中7名(13%)の割合であり,統計学的有意差はなかった.また検出したMRSAの抗菌薬感受性パターンの変遷を追跡したが,一定のパターンのMRSAが広がる傾向もなかった.MRSAの菌量が多い児がいた年度と菌量が少ない年度でもMRSA保菌の割合に統計学的有意差は認めなかった.以上の結果から,標準予防策を徹底していれば,MRSA保菌児を隔離せずに集団保育を行っても,MRSAの伝染は防ぐことが出来ると結論された.
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