細菌の逆転写酵素およびmsDNAの構造と機能
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概要
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細菌の逆転写酵素は, 大腸菌などのグラム陰性細菌に広く分布しており, multicopy singlestranded DNA (msDNA) と呼ばれる特殊なRNA-DNA複合体の合成に必須の酵素である。大腸菌由来の逆転写酵素を精製し, in vitro でmsDNA合成を調べたところ, 細菌逆転写酵素は2,5-ホスホジエステル結合を形成する活性を持つ特殊な酵素であることが明らかになった。また, ビブリオ属細菌を中心に病原細菌における逆転写酵素の有無を探索したところ, コレラ菌や腸炎ビブリオなどで逆転写酵素遺伝子 (ret) とmsDNAが発見された。新たに発見された病原細菌由来のmsDNAの構造解析を行ったところ, 従来のmsDNAにはない特徴的な構造をもっており, msDNAおよび逆転写酵素の機能と病原細菌特有の機能との関連性が示唆された。特に Vibrio cholerae では, いわゆるコレラ菌であるV. cholerae O1/O139株とnon-O1/non-O139株との間で逆転写酵素の有無と病原性との関連性が認められた。
- 日本細菌学会の論文
- 2003-05-30