薬剤排出蛋白質遺伝子資源の解析に関する研究
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概要
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人類と感染症との戦いは抗菌薬の発見以来, 耐性菌の出現とその克服というサイクルを繰り返してきた。しかし, 感染菌の全ゲノム配列が次々と決定されるようになり, 薬剤耐性研究の場において, 全く新しい展望が開かれようとしている。それは, 感染菌の薬剤耐性を生み出す遺伝子資源の全容を把握し, 解析することによって, 未来において発現するであろう薬剤耐性にあらかじめ備えておく可能性が見えてきたということである。本研究では, まず, 大腸菌ゲノム情報をもとに推定した薬剤排出蛋白質遺伝子37個を全てクローニングし, 解析を行った。その結果, 内20個が大腸菌を薬剤耐性化させることが分かった。つぎに, これらの発現調節機構について解析を行った結果, 細菌における主要な環境感知・応答システムである二成分情報伝達系やヒストン様蛋白質H-NSが薬剤排出蛋白質の発現調節を行うという新たな薬剤耐性制御ネットワークの存在を明らかにした。
- 日本細菌学会の論文
- 2003-11-25