抗原抗体反応に関する研究 : 第2報 紫外線の抗原抗体反應に及ぼす影響
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概要
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第1報に引続きこゝでは抗体分子の会合の問題について考える。H.Smetana及びR.Hananは可視光線及び紫外線を抗体に照射した場合沈降量-添加抗原量曲線の形が如何に変るかを研究した。いずれの場合も曲線のPeakは左に (抗原の少い側) 偏る。逆に抗原を照射した場合はPeakは右に偏る。筆者はこのような形の変化には会合した抗体分子が紫外線によって解離する影響もあるのではないかと考え, Egg albuminで免疫した家兎の紫外線照射血清と非照射血清について細菌濾過器で濾過したものとしないものの双方を比較した。その結果は照射しないものでは濾過した血清の沈降反応曲線はしないものより全般に低く出るか, 照射した血清については濾過及び非濾過曲線がわつか交又しながら重つている。このことは大きく会合した抗体分子が照射のため大部分解離して, 濾過による差異がなくなった為と考えられる。しかしもっと確実に会合の事実を確めるためには, さらに綿密な実験, 例えば限外濾過等を試る必要があろう。しかし理論的には十外会合の可能性が考えられるので, 抗体分子が全部2分子宛, 及び全部3分子宛会合した場合を第1報の (4)(5)(6)(7) 式にならつて計算して沈降量一添加抗原量曲線を作った (Fig.7, 8)。Heidelbergerの実験値と比較すると, 抗体量を18.3mgと仮定したまゝで, ある程度実験値に近けることが出来, この場合もAB10のときよりAB5の方がよく合うことが分った。但し抗原過剰域では失張り理論値が実験値より高く出るが, この理由については既に第1報で考察した。
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