服薬状況を用いて評価した持続性神経障害性疼痛患者の長期治療経過
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概要
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症例の概要: 患者は, 56歳女性で上顎左側第一大臼歯相当歯槽部の慢性灼熱痛を主訴に来院した. 痛みは無麻酔下での歯肉縁下盲嚢掻爬に端を発しており, 頭部MRI所見, ならびに局所のデンタルX線写真には異常所見を認めなかった. 一時的に疼痛は, 同歯を抜歯し緩和したが徐々に再発した. 患者の症状がGraff-Radford & Solberg (1992) の持続性神経障害性疼痛 (非定型性歯槽痛) の診断基準に合致したため, カプサイシン局所塗布, 三環系抗うつ剤を中心とした薬物療法, 簡易精神療法を行った. 本患者の痛みの程度を長期経過観察するために, 患者の服薬量を7年間にわたり記録したところ, 痛みの程度に減少傾向が認められた.<BR>考察および結論: 口腔顔面部の神経障害性痔痛は原因がいまだに不明であることから, 患者の精神的な苦痛は耐え難いものがある. また, 本症の予後に関する臨床エビデンスは明らかに不足しており, 現在のところその予測される症状の推移でさえも的確に患者に伝えることができない. 今回, 服薬量などの経時的な変化から, 本疾患患者の発症後7年間の症状の多寡を評価したところ, 本症の主症状である慢性疼痛は一進一退を繰り返しながらも軽減傾向にあった.
著者
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永松 千代美
岡山大学医学部・歯学部附属病院補綴科 (クラウンブリッジ)
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窪木 拓男
岡山大学医学部・歯学部附属病院補綴科 (クラウンブリッジ)
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縄稚 久美子
岡山大学医学部・歯学部附属病院補綴科 (クラウンブリッジ)
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峯篤 史
岡山大学医学部・歯学部附属病院補綴科 (クラウンブリッジ)
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前川 賢治
岡山大学医学部・歯学部附属病院補綴科 (クラウンブリッジ)