復水器用新耐食材料の実用化に関する研究 : (フェライト・オーステナイト2相ステンレス鋼の応用について)
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概要
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舶用復水器の冷却管材料として, 長い間アルミニウムブラスまたはキュープロニッケルが使用されてきた.しかし, 腐食漏えい事故がしばしば発生しているため, 船舶の大形化, 近代化にともなって, より耐食性のすぐれた材料の開発が望まれている現状である.<BR>本論文は, フェライト・オーステナイト2相ステンレス鋼が耐海水性を有している点に着目し, この材料の復水器冷却管材としての実用化調査を行なったので, その結果について報告するものである.<BR>すなわち, 耐食性については, ポテンショスタティックな方法により, 不働態皮膜の効果を確認し, さらにモデルコンデンサによるダイナミックな流水試験により, 海水に対してすぐれた耐食性を有していることを確認した.また, 本材料を使用した場合の工作上の問題点および復水器としての性能上の問題点 (伝熱加工特性) などについて検討した結果, 伝熱および加工特性はやや劣るが実用化は十分可能であることが判明した.実船に採用しすでにか動する段階に達しているので, 今後はこの実績を追跡調査し復水器性能向上に寄与していきたいと考えている.