超大形ディーゼル機関シリンダカバーの破損因解析とその対策
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概要
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大形舶用ディーゼル機関 (B & W 7K 98 FF) のシリンダカバーに発生したき裂事故に対処するために, き裂発生因の詳細な検討を行なうとともに, この結果を元にしてシリンダカバの構造改良を行ない, それについて種々の応力条件を評価してその安全性を確認した.<BR>まず, き裂発生状況, き裂破面を調べ, 疲労によるものであることが推定されたので, シリンダカバー材質の諸検討および実働条件下における作動応力状態の有限要素法による解析, 熱光弾性解析および実船実測を実施した.そして, この結果を元にして, (1) 機関の運転条件の変動による低サイクル疲労, (2) シリンダ内爆発力の繰返しによる高サイクル疲労の両者について, それぞれ疲労限界線図を元にした検討を行ない, このき裂発生が後者の要因に基づくことを明らかにした.すなわち, 高熱負荷を局部的に受けるシリンダカバーには, 局部的に高い熱応力が定常的に存在するとともに, これを平均応力としてそれに重じょうする繰返しの爆発応力の作用が弁座ボス部付近の幾何学的応力集中とあいまって, この種き裂を発生させる要因であることがわかった.そして, シリンダカバーの応力特性を改善することにより, 有効な対策が期待できることを, 構造各部の剛性形状などが応力状態に及ぼす影響を詳細に解析することにより明らかにしたほか, き裂の成長状況と作動応力条件との対応もよく説明することができた.<BR>そして, 以上の結果に基づいて, シリンダカバーを上下2段に分割された構造とし, 両者をボルト締めにて一体にした改造形カバーを設計し, この新しい構造について応力状態を詳細に解析検討して, その改善度を確認した.現在, この改造形シリンダカバーを装備した本機関がすでに順調に稼動中である,