乳幼児の身長体重の増加と乳歯萠出の関係について
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概要
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歯の萠出が身体発育や環境因子の影響によって左右されることについてはすでに種々知られているが, 萠出歯数と身体発育値との相関を観察したものは少ない。著者は以上のことなどから対象をこれまであまり観察されていない生後5〜18月齢の乳児とし, 父母の職業をサラリーマンと限定し, 家族構戒5人以内, 経済的にほぼ中位と思われる家庭の出生三前後とも明らかに健康上異常を認めなかったとする男女5119名について, 月齢別, 性別, 身長, 体重, 比体重及び生下時, 身長, 体重の増加率をもとにして乳歯萠出歯数との相関係数を求め, 同時に各項目とも第一子群及び第二子以下の群とについて比較を行ない次の結果を得た。<BR>1) 身長, 体重及びその増加率は, 各月齢別とも男は女に比し大きい傾向を示し, その差は8月齢以後有意となり, 第一子の群及び第二子以下の群においては, 男女共, 第一子の群がやや大なる傾向を示した。2) 比体重は各月齢とも男は女に勝る傾向を示すが, 第一子の群, 第二子以下群との間では, 男女共, 第一子の群において勝る。3) 乳歯萠出歯数は男は10月齢以後において女に勝り, 第一子の群及び第二子以下群では男女共僅かに第一子の群が勝る。4) 乳歯萠出歯数と身長, 体重との相関は月齢の進むに従って相関係数は大となり, その差はいずれも有意でなかった。第一子の群, 第二子以下群との有意差は各月齢ともみられなかった。5) 身長, 体重増加率と乳歯萠出歯数は6月齢以後に有意な相関係数を示したが, その差は各月齢とも有意でなかった。第一子の群と第二子以下群とでは男女共に有意な差を示さなかった。6) 身長, 体重の増加と乳歯萠出歯数との相関は身長においてその係数が最も大であり, ついで現在身長, 体重増加率, 現在体重の順である。従って乳歯萠出歯数と身長, 体長の増加の関係は大であると考えられた。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文