歯石中に含有するtrace elements (Mn, As, Cd, Hg) に関する研究
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概要
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歯石中には微量元素が多数含まれているが, それらの検出には現在のところ一致した見解がみられない。このため, 歯石中の微量元素のうち, とくにMn, As, Cd, Hgを放射化分析法により検出し, それらの量的把握を試みた。<BR>実験結果は次のようである。<BR>1) Mn, As, Cd, Hgの放射化分析法および放射化後の元素の化学的分離法は, 理論の点, 分析操作の面で, 未だ十分確立されていない。<BR>このため, Mnの定量には非破壊放射化分析法を行ない, As, CdおよびHgに対しては放射化分析後, 各元素を化学的に分離する方法を行なつた。<BR>2) 基礎実験では, 標準試料と各試料を一定条件下で中性子照射し, 定量値の測定をおこない, <SUP>76</SUP>Mnは0.874 MeVのγ線スペクトル, <SUP>76</SUP>Asは0.549 MeVのγ線スペクトル, Cdは<SUP>115m</SUP>In 0.335 MeVのγ線スペクトル, <SUP>203</SUP>Hgは0.274MeVのγ線スペクトルの立上がりの点で, それぞれ歯石中のγ線スペクトル線の一致をみた。<BR>3) 東京, 大阪, 富山, 新潟の4ブロックに分け, 各地区における住民の歯石中のMn, As, Cd, Hgの検出を試みた結果, 各地区で異なる結果を得たが, 何れの地区でもMnの含有量が最も多く, Asは最も少なかつた。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文