ポリウレタンの齲蝕予防填塞材応用への基礎的検討 : 第I編二成分系ポリオール硬化型ポリウレタンについて
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概要
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本研究は, ゴム状弾性のあるポリウレタンが, 齲蝕予防翼塞材として応用の可能性があるか否かについて, 基礎的な知見を得ることを目的とした。二成分系ポリオール硬化型ポリウレタン5種類を用いて, 吸水量, かたさ, 酸処理後のウシ抜去歯ほうろう質面に対する室温放置3日後および水中浸漬1週間後の引張り接着力, ヒト抜去大臼歯咬合面窩溝に対する填塞後の, 歯面上の発泡性および過酷な熱虐待後の辺縁封鎖性について, 基礎的な検討を行った。<BR>5種類の実験ポリウレタンについてNCO/OHのモル配合比1.0の場合では, 吸水量は, 5臼後において, およそ1-3mg/cm<SUP>2</SUP>, かたさは, 種々のものが得られ, 最もかたいN-400-ポリウレタンでも, bis-GMA系填塞材の約2分の1であり, 引張り接着力は, ひまし油-ポリウレタンを除いては, いずれも思わしい値ではなかつた。また歯面上において, ポリウレタンの硬化時反応から生ずる発泡は, OH側を溶媒で溶解させ樹脂分濃度および粘性を低くすることにより少なくすることができ, 熱虐待後の咬合面の辺縁封鎖性は, ひまし油-ポリウレタンの樹脂分濃度50%が良好であつた。<BR>次に, 引張り接着力の最大を示した高配合比で填塞した場合の咬合面の辺縁封鎖性は, ポリエーテル系よりもポリエステル系の方が良好で, 特に, ひまし油-ポリウレタンは優れていた。