歯の微量金属に関する研究 : 第2報 国内4地域における歯の微量金属 (Pb, Cu, Cd, Zn)
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概要
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歯の微量金属に関する研究報告は数少なく, その衛生学的意義はほとんど知られていない。とくに日本人の歯の微量金属の分析報告はほとんど皆無に等しい。<BR>著者は第1報において原子吸光分光分析による歯の微量金属 (Pb, Cu, Cd, Zn) の定量法を検討した。<BR>今回, 国内4地域 (東京, 三重県奥津, 八丈島, 群馬県安中) から99本の抜去正常永久歯を収集し, 第1報に示した原子吸光分析法により歯の4種類の微量金属を測定し, 次のごとき結論を得た。<BR>(1) 4微量金属の濃度平均は乾燥重量あたり, zn 198μg/g, Pb 7.29μg/g, Cu 1.48μg/g, Cd 0.12μg/gであつた。<BR>(2) 4種類の微量金属の度数分布ヒストグラムは対数正規分布を示した。<BR>(3) 4種類の微量金属濃度は個人差が大きく, また同一人でも歯種により大きな差を示し, また地域差を示した。<BR>(4) 東京の歯においてはPb (11.61μg/g) が高値で, 農山村である三重県奥津 (4.65μg/g) の約2.5倍を示した。<BR>(5) 八丈島の歯においてはZn (269μg/g), Cu (2.94μg/g), Cd (0.43μg/g) が高値を示した。<BR>(6) 頭初の予想に反して東邦亜鉛安中製錬所から2km以内の住民から得た歯はCd (0.10μg/g), Zn (186μg/g) 共に高値を示さなかつた。<BR>(7) 各金属間の関連ではCaとCu, ZnとCuおよびCd, CuとCdにおいて1%有意の相関を認めたが, 相関係数値はあまり高くなかった。
著者
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