歯の咬耗度による年齢推定に関する重回帰分析
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概要
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考古学において,頭蓋骨と歯の一部とが発掘され,そのおおよその年齢を知りたいことがある.このとき歯は年齢を推定する貴重な情報を提供してくれる.法医学においても,これは興味のある問題である.ここでの分析の目的は,28本の歯の咬耗度のみに基いて,年齢を推定する関係式を求めることであり,データは第3大臼歯を除く28本の個体歯(189体)について,その咬耗の程度を5段階に分けたときの分類と,その各個人の年齢とから成っている.第1章では,われわれの扱っているデータがどのような特性をもっているかについて,散布図・相関行列・主成分分析等を用いて考察する.第2章では,できる限り少い変数で,しかも推定精度の犠牲を最小限にするよう配慮しながら,歯の咬耗度のみに基づく年齢推定式を求める.そのために,変数増減法あるいは変数減増法による重回帰分析を行なうのだが,変数の取捨選択基準として2.0を採用する.第3章では,なぜわれわれが変数選択の基準として2.0を用いたかを,変数選択の際のF-統計量の基準値とAkaike Information Criterion(AIC)との関係について論じ,その理由を明確にする.最後に数量化1類による推定式のほうが推定精度はよいにもかかわらず,われわれが重回帰分析による推定式を主張するのは何故かという疑問に答える.
著者
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