PVC-ゾーノトライト混合系の機械的性質に対するゾーノトライトの分散粒子と凝集粒子の比較
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概要
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合成ゾーノトライト (6CaO•6SiO2•H2O) は針状の結晶(長さ5〜10μ)が無数にからみあって40〜100μの大きな二次粒子を一般に形成している. これをジェットエアー (JA) で微粉砕するとかなりこまかく, ときほぐすことができる. またゾーノトライト合成時にヘキサメチルジシロキサン (HMDS) を添加しておくと凝集が抑制され二次粒子の解繊も容易になる. このように物理的及び化学的処理によって微細化したゾーノトライトをPVCに充てんすると微細化処理しない従来の場合に比べて引張強さが増し, 伸びも良くなる. 特にJA微粉砕はこの傾向が強い. 一方, 曲げヤング率及び動的弾性率は小さくなるが, 動的弾性率の温度依存性に関して転移の大きさ, 鋭さは従来の場合より大きい. またガラス転移温度の上昇の度合は小さくなる. 弾性率におけるこのような傾向はHMDSを添加したものの方が強い.これらの結果は, 二次粒子の複雑な表面構造が微細化によって単純化され, 粒子とマトリックス間の相互作用が弱まったこと, 空隙の多い二次粒子の崩壊によってマトリックス内での粒子の体積分率がむしろ減少し, かつ分散性がよくなったことなどを示すのではないかと思われる. 特にHMDSは粒子表面の性質を変え界面での相互作用を弱める作用をするのではないかと思われる.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文