肺癌と鑑別を要したメソトレキセート関連リンパ増殖性疾患が疑われた1例
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概要
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背景.リウマチ治療薬であるメソトレキセート(MTX)の内服中にリンパ腫が発生することが知られている.肺癌と鑑別を要したメソトレキセート関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders:MTX-LPD)の1例を経験したので報告する.症例.50歳代男性.1991年から関節リウマチ(RA)の治療中,乾性咳嗽が出現し胸部X線で右肺門部の腫瘤影を指摘され紹介となった.CTで右肺門に6×5×5 cmの腫瘤と両側多発肺結節および両側多発腎結節を認めた.多発転移を有する右肺癌を疑ったが,PETで肺と腎のほか,胸壁,膵,腹膜,右顎下リンパ節にもFDGの集積を認め,肺癌以外の悪性疾患の可能性も考えられた.RA治療のためMTX内服中であったが,全身状態が悪化したため内服を中止したところ,MTX内服中止3週間後に全ての腫瘤影の縮小を認め,それらは最終的に消失した.以上の臨床経過より本症例はMTX-LPDと考えられた.結論.MTX内服中の患者に肺癌を疑う所見をみた場合,MTX-LPDを念頭においた検討が必要である.