脊椎動物の温度感受性transient receptor potential(TRP)チャネルの多様性と機能進化
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概要
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動物は環境温度を正確に感知して行動や生理的な応答により順応している。そのため温度感覚は適応進化においても重要な役割を担ってきたと考えられる。温度受容体はtransient receptor potential(TRP)遺伝子ファミリーに含まれる温度感受性チャネルである。進化過程で温度感受性TRPチャネルに生じた変化は温度感覚に直接的な影響を与えるため,これらの遺伝子の進化過程を調べることは適応的な役割を解明する上で欠かせない。筆者らは,温度感受性TRPチャネル遺伝子を複数の脊椎動物種のゲノム配列データから収集し,分子系統解析を行い遺伝子レパートリーの多様性およびその進化過程を明らかにしてきた。また,機能の進化過程を推定するために,哺乳類から系統的に離れた両生類であるニシツメガエルからTRPV3をクローニングし電気生理学的な手法による機能解析を行った。ニシツメガエルTRPV3は温度感受性が哺乳類のものと大きく異なり,進化過程でその機能を柔軟に変化させてきたことを明らかにした。本稿では,脊椎動物の温度感受性TRPチャネルの遺伝子と機能の進化について最近の知見を紹介する。
著者
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