天然ゴム-鋼板接着物の腐食劣化特性
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概要
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天然ゴム(NR)-鋼板接着物の腐食環境下での劣化による接着はく離を検討した. 接着物は鋼板-NR-鋼板の構成から成り, 鋼板間を腐食試験前にあらかじめ10%伸長させて接着面にひずみを与え温水浸せき, 塩水浸せきおよび塩水噴霧の各試験条件下でゴムと鋼板との接着面の腐食による接着はく離, および, 鋼板の下地の表面処理(グリットブラスト処理, リン酸亜鉛化成処理)の違いが腐食による直接はく離に及ぼす影響を検討した. 各腐食条件下でNR-鋼板(グリットブラスト処理)物を用いて接着はく離を調べたが, 長時間の温水浸せきおよび塩水浸せき試験(2400時間)ではわずかに界面に接着はく離が見られる程度であるが, 塩水噴霧試験では腐食の接着界面への進行が速く, 短時間(1440時間)で完全にはく離した. この現象は温•塩水浸せき試験では腐食要素の酸素の供給に限りがあり, 塩水噴霧では酸素が豊富に供給されるためと考える. NR-鋼板接着物の鋼板の表面処理の違いについて, リン酸亜鉛化成処理接着物はグリットブラスト塩水噴霧試験条件下で, 約6倍の耐久寿命を示した. このようにリン酸亜鉛化成処理が耐腐食性に優れるのは食塩水からのCl-イオンに対して溶解し難いためと考える. またNR-鋼板接着物の接着端面からの腐食によるはく離機構について若干の考察を行った.