放射線の照射による純ゴムの破断伸び低下の原因
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概要
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テトラフロロエチレン-プロピレン交互共重合体の純ゴムを架橋が優先する条件として室温で電子線照射, 切断が優先する条件として100°Cでγ線照射を行い, おのおのの試料の引張試験を行った. 更に架橋優先条件と切断優先条件を交互に加えた試料についても試験を行い, 放照線照射による破断伸び低下の原因を以下の三つの場合にわけて考察した.(1) 架橋が優先する場合破断伸びは照射線量の-0.5乗に比例し, 破断は短鎖網目への応力の集中が起点となるとする Buche らのモデルに従う.(2) 切断が優先する場合10Mrad までは照射とともに伸びは増加するが, それ以上照射すると増加せず, 低分子量の生ゴムを架橋したのと同様の挙動となる.(3) 架橋と切断が同じ割合で起こる場合破断伸びは照射とともに低下する. これは架橋と切断がランダムに繰り返されると網目鎖間分子量分布が広がり, 短鎖網目への応力集中が起きやすくなるためである.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文